今夜の風は特別に心地よい。寝静まった夜に暖かい土の匂いが、春の匂いが南から運ばれている。
篠田桃紅さんの作品が所蔵・展示してある岐阜の現代美術館GICOMAに先日、訪問した。
亡くなられたのは3年前か。
はじめて知ったときはすでに100歳を越えていらしたが、それでも活気のある様子だったので、芸術家は早死するというわたしの臆見をきれいに容易く打ち砕いた。そしてなにより作品が凄まじかった。こういう人になりたいなぁとおこがましくも憧れる存在だった。
もちろんいまでも、それは変わりない。
だけど亡くなられて、いまはさびしい。
わたしの書は世のうつりかわりに対する、無常に対する惜しみ方だと、そのようなことを桃紅さんは言っていたが、惜しみ方という言葉遣いがすてきだと思った。
そして、わたしは名残惜しいという別のことばを重ねて浮かばせた。名残惜しくて描いています、わたしにとって、それもいいなと思った。