つい最近、お散歩ソングを新たに見つけてよく聴いている。いまの時間感覚に馴染んで、いまの街の空気に似合って気が抜けて心地よい。
世の中の限りない音楽のなかで、お散歩するのにちょうどいい曲というのがあって、それはもしかしたらその人の歩く速さに依存するのかもしれないと思う。アンダンテ 「歩くような速さで」のテンポは、もちろん人によってちがうのだけれど、場所や状況、気分によっても変わる。なんだかうれしいとき、さびしいとき、むなしいとき、たのしいとき、それから渋谷を歩くとき、上野を歩くときだって、あ、これだなぁっていう曲がある。公園、帰り道、通勤路、太平洋の海辺を歩くとき、日本海の海岸を歩くとき、山や川沿いだったり、冬だったり夏だったり、ね。
まるで、レコードをゼンマイ代わりにまわして動く人形みたい。
そのときのお散歩ソングが時間とともによく耳に心に馴染んで、いつしかいろんなこと、いろんな人間を思い出させもする。
その木漏れ日のような束の間が、さまざまなものが紛れは埋もれて混雑した街の最中では、一等に尊い。