2021/08/09

1774.

 風荒ぶ、雨の匂いを市街によせて、息絶えた蝉や蜻蛉を転がす。私は背筋を伸ばして歩く。風をきる、夏の歩道が天に向かって延びている。風が懐に刺すその刃は露ほどのぬくもりを奪っていった。空洞の在処を確かめた手にだけわずかに残った燃殻もほどなく消える。