久しい手紙が手元に来れば、光が差し込むようにあっという間に過去の影は失せていく。気泡を日常の風に弾かせながら、ことばを心の深くで受け入れる。今日、手紙が届いた。
深海の静寂を忘れて海面を泳ぐばかりでは人間の気持ちも読めなくなる、時化の荒れ狂う日には見慣れぬ感情に呑まれそうになる。
時代が違えば分かり合えた人間たちも、流行りの世の中では挨拶を交わし合った後で余所見した途端に絶交する。それが現代。「断ち切るのでなく解いていく」のは時代遅れ。
そのような時代にあって、手紙やメールを交わし、ことばを心の深くへ届けてくれる非常な存在は家宝のように大切だと思える。
ことばは何のためにあるのだろうか。
人を動かすためか。
心を動かすためか。
人を鎮めるためか。
心を鎮めるためか。