2021/01/19

1751.

きっと誰も知らない海辺で淡々と作文する。大きく欠伸して、自分のせかいを潮風にさらす。船の往来を遠くに聞きながら或る人を脳裡に浮かべる。数多なる輪郭のなかで、わたしと同じように文を綴る姿が最も明瞭に見える。ことばを大切に思う人だ。彼女を、彼女のことばを思い出すたび、わたしの粗野な感性が姿勢を正しくするように緊張し、そしてにわか仕立てのことばを整頓するほどに変わる。ことばをさがす、それがわたしたちの合言葉。目交いの現実を透した瞳の、いっそう奥深くで渦巻いているものから、ことばをさがす。