2020/01/14

1737.

 人と目が合うと、瞬間を感じられる。思いのほか美しく、つないだ手を離すように、向こうの瞳に囚われることがいつかあったかもしれない。わたしがそれを手にしようとすれば、瞬間は記憶の、永遠をうちにとどめた石のような、小さな個体にかわる。


***


近所の橋の下を流れる川は午前のあわい陽光を受け、山水に清められた赤児が寝息するような静けさをたもって、応えつづけていた。もし君がいたなら、そう思うことがあった。一秒を刻むのをやめて、時はとまるべきだったのに。



2020/01/13

1736.

筆不精で、伝えることがある人に何も伝えられずに空しく日を過ごす。愚者の極みに立った。湧き立つこと未だになく、眠り続ける人倫の息吹が咽頭の端にわずかに触れる。

冬の夜。独り身の寒さをしのぐように自省を重ねたときがあったかもしれない。そのとき忘れぬように留めておいた熱情の薪が、いまもまだ香り続ける。こびりついた儚さのように。

1735.

負荷を背にして棘をくらう
足から後ろに引かれ流れるのは血
徳や克己それから知能
みんな歩むために絞り出る知恵さ
「生きる」
どんな岐路に立とうが
嶮しい崖道も穏やかな平野も
陽の昇る方へ向かう道