2019/06/25

1730.2

 雨が続くという予報だ。日毎ひと月にわかに雨が降るかずっと曇り空だった少しむかしを思い出す。ときどき降るなら心の方向転換にもなるが、いつ降るか分からないものと毎日付き合うのは気が滅入る。雨で頭蓋骨に一箇の陥没ができると、そこに水たまりができて穏やかでない。いまはまだ、寝ぼけまなこの梅雨の雨雲をほんの少しの情緒で迎えることができるけれど、生活のリズムを崩さないような心がまえが必要かもしれない。

六月も終わる。大学の講義も後半に入った。ひとりキーボードを静かに打ちながら資料を作っているわたしの姿をいつどこで知るのか、「がんばってるね。」と声をかけてくれたのが何人かいた。ありがとうと返して、そうして「がんばってね。」とお別れする。自分のことを気にかけてくれる人がいるなんて、うれしい。滅多にないことだ。こうしたことは言われてばかりだから、自分から相手に言う機会がもっとあっていいかもしれない。



1730.

悩ましいことだ
蚊取線香の煙が充満して
窓から見える月が力なく沈んでゆく
社会制度も個人感情も抜きとって
骨だけを残した夜のために
わたしたちだけが泣いている
愛着が体から離れて
落ちたパンくずみたいに
目を光らせた山猫に食べられている






2019/06/19

1729.

過去のことを思い出して、それを現在と比べてしまったので今日は少し憂鬱な時間があった。どんなに前向きな姿勢であっても、こういう憂鬱な時間から今後一切はなれていることはむずかしい。それはさながら自然の嵐のようなものだ。ただ今回は、その状態は意外にも早く回復した。どのような信念がいまのわたしを形成しているかを思い出すだけでほとんど解決した。一過性のものに執着しない、これはわたしの強みだ。これでまた、わたしは明日へ向かうことができる。

2019/06/14

1728.

朝のポストを開けたら手紙があった。大学へ歩きながら我を忘れてそれを読んだ。たくさん書いてあって、肌身に触れるようなことばで満ちていた。うれしくて、しあわせを感じてたまらなかった。今日やるべきことも明日やるべきことも、ぜんぶ放りおいてみたい気にもなれば、ぽつぽつとようようと强くなる雨脚のなかで、たましい色の花でそまったあの雨空と『もうろうとぼくは』ことばでないことばを交わして、このうえなく静かでさびしいしあわせを感じた。