2018/09/18

1695.

 小説を読みたくなった。なんでもいい、やさしくてしずかで、さみしくて、冷たい左胸に秋風のそよぐ、そんな小説だったら。
 私は宮沢賢治の春と修羅をよんだ。詩人はすごい。人間の心が、あるときにはどれだけグロテスクなものかを教えてくれる。ちょうど心臓をなまものとして見るように、人の心もミクロスコープで見ればたまらなく奇異に違いない。詩人は自分自身で開発した顕微鏡を使って、そんな心の諸相を教えてくれる。
 小説を読みたくなるとき、私は感傷に浸りたいと思う。そこで得られる空気が、私の血流を促進するからだ。